~悪魔と怠慢~
- 正男とヘラルドは数回打ち合ったが勝負はつかなかった。
ヘラルド(・・・前より少し強くなってるな・・・・・・実戦経験の賜物か・・・?)
正男「うらっ!」
正男の蹴りがヘラルドを狙ったが・・・
ヘラルド「遅いっ!」
ヘラルドはその足を左腕で掴んだ。
そのままの状態で、ヘラルドは正男の動きを止めるべくベイルの力を行使した。
ヘラルド「メンドくせえが・・・! ファイ・ロルス」
正男「ぐぁっ!」
ヘラルドは左腕から炎を放ち、正男を投げ飛ばした。
クリス「正男さん!」
クリスが正男のそばに駆け寄った。
ヘラルド「強くなったと言ってもその程度じゃ、俺には勝てやしねえぜ?」
・・・平静時のヘラルドであれば面倒な事になる前に、倒れている正男に更に追撃を加え、確実に動けなくしていただろう。
しかし、ヘラルドはそれをしなかった。
その行為をしなかった事が、ヘラルドの心中の油断を表していた。
正男「ふっw」
ヘラルド「お前は努力しても、俺に傷一つ付けられやしねえw」
浩二「・・・そう? もう付いてるよw」
ヘラルド「・・・?」
ヘラルドは自分の左肩に手をやった。
そしてヘラルドが見たものは・・・
ヘラルド「・・・ww」
ヘラルドの左肩に触れた右手にはべっとりとした血が付いていた。
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・・・。
・・・・・・何時、やられた・・・?
隙を作った覚えは無え・・・。
・・・そして俺の炎は放たれたから、奴の蹴りの前にやられてたって事は無え・・・。
その事実を拒絶しようとするが、ヘラルドの左肩には深い刺跡が残っている。
いや、まさか。
俺かが隙を見せた時・・・。
いや 意識していなくても無意識に隙が出来る瞬間・・・。
防御し終わって安心した瞬間。
ヘラルド「俺がお前の足を掴んだ時か・・・w」
正男「ご名答w あのままだと埒があかねえからな、肉を切らせて骨を絶つ!だww」
ヘラルド(・・・末恐ろしい奴だw ・・・・・・やはり兄弟、あの化け物と血が繋がってるらしいな・・・ww)
ヘラルド「お前みたいなのは、更に面倒な事になる前に叩き潰しとくに限る・・・」
ヘラルドは拳を構えようとしたが、左腕が全く動かなかった。
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・・・神経をやられたか。
・・・こりゃしばらく 左腕は動かねえな・・・。
・・・メンドくせえ・・・。
ヘラルド「なんて訳にもいかねーようだ・・・」
正男「逃げるのか?」
ヘラルド「勇気ある撤退だぜ、これは?」
突如、ヘラルドの右手から炎が放たれた。
クリス「アイス・シールド!」
攻撃は防ぎきったが、ヘラルドの姿は消えてしまった。
正男「逃がしたか・・・」
ザトシ「zzz」
正男「死ね ザトシ」
ザトシ「orz」
正男「とりあえず先を急ごうジャマイカ」
そして正男達は「番人」ヘラルドを倒し、門をくぐっていった。
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~20分後~
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正男「ここって首都なんだろ? ほら、あそこに政府のお偉いさん達が住んでる」
正男が指差した先には茶色の塔が・・・。
浩二「そうらしいねー、でもその割には兵士達が少ないような・・・」
クリス「結構意外ね?」
浩二「ねえ ここからどうやってエル・ルガーまで行くの?」
クリス「ここから港に行くの。 そして
船でその街”エル・ルガー”まで行くわ」
ザトシ「港・・・船旅・・・海・・・旅行・・・ヽ(゜∀。)ノワーイワーイ」
浩二「幼稚園児が居る」
正男「あの港だなw さっさと旅行行こうぜ」
クリス「旅行じゃないからねw」
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~更に10分後~
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受付員「船に乗られるのですね? 一人5000円になります」
正男「浩二」
クリス「浩二ね」
ザトシ「浩二だな」
浩二「OTL」
そして正男達は船の中に入った。
正男「あれえ? 誰も人が居ねぇや・・・」
正男の言う通り、船はガランとしていた。
浩二「ラッキー、貸切っぽいねw」
???「ホントぉ~? アンラッキーでしょ~?」
妙に間延びした、それでいて飄々とした声。
クリス「・・・人?」
ザトシ「タイトル見た時から嫌な予感しかしなかった」
正男「マタデスカ」
???「はいはい~♪ すぐ行くわよ~w」
二階へと上る階段から降りてくる足音がした。
そしてその「女」は優々と、それでいて皓々と姿を現した。
正男「・・・誰だ?お前」
シルビア「分かるでしょ、軍よ~♪ ちなみに副隊長っ! 名前はシルビア!
それ以外でわざわざこんな所で待ち伏せな~んて・・・する訳ないでしょ~♪」
刹那。
時が止まったかのような静寂が船上を食らった。
そして次に訪れたのは、絶えられぬ程の張り詰めた空気。
正男(相手は丸腰だが油断すんなよ・・・w)
浩二(分かってるよ兄さんw ザトシも寝ないでよ!)
ザトシ(へいへい、っていうか喋り方ウザいなアイツ)
クリス(女だからって油断してたら負わなくても良い傷を負う事になるわよ・・・ 気をつけて!)
仮定・・・仮定の話をしよう。
もしも今の正男達の立場に、ニックが居たとしたら。
ニックは目の前の女に対し、一方的な虐殺を繰り広げようとするだろう。
もしも今の正男達の立場に、ヘラルドが居たとしたら。
面倒を避けるため、ヘラルドはシルビアを始末しに懸かるだろう。
もしも今の正男達の立場に、メイガが居たとしたら。
近くにザイレスの首都がある事を踏まえ、ここで戦うのは得策では無いと判断し、逃亡するだろう。
その3つのいずれかが、この場合の反逆者に与えられた普通の選択肢だろう。
ただし、もしも。
もしも今の正男達の立場に、ベリアルが居たとしたら。
ベリアルはそのいずれの選択肢も取らない筈だ。
ただ狂々と笑い続け、喜びを殺意に捻じ曲げ己の大剣に籠めるだろう。
最高級の・・・、己と渡り合える最強級の獲物を見つけた肉食獣のように。
無論、物語に仮定は存在しない。
仮定を知る術も無い。
そして、そんな仮定を知る由も無い普通の男、ザトシは腰のホルスターからナイフを取り出し、シルビアに突撃していった。
浩二「・・・!!」
正男「おい!ザトシっ!俺達の目的は上層部の更生!殺したりするなよ!」
やがて揚がったのは、土煙と何かが突き刺さる音。
そして煙が晴れ・・・正男達は己の双眸を疑う事となった。
ザトシの両腕は掴まれ、後ろで組まれていた。
ナイフは船の床部に深々と突き刺さっており、シルビアの靴で踏みつけられている。
シルビアは軽く笑って、何事も無かったかのように喋りだす。
シルビア「言ったでしょ~、”話がしたい”だけって~・・・・・・ふふっw」
正男「・・・てめぇ・・・w」
浩二「君・・・・・・ただの副隊長じゃない・・・?」
シルビア「私が誰かなんてどうでもいい事でしょ~?私は軍の副隊長、シルビア。 それでいいじゃない~?」
正男「全然よくねえよw
・・・けど、このままじゃストーリーが何も進まねえw 話せよ、女w」