真治「・・・何で俺がお前等の話聞かなきゃならないんだよ・・・」

勇治「兄さんの言う通りだ、断られるのを承知でここに来たの? というかここ何処?」




確かに真治の言い分は珍しく間違っていなかった。




つい数日前に自らの正義を貫き通してまでしてこっちは半殺しになったのである。




にもかかわらず今になってこの男の言葉を全て信じろと言うのか?




馬鹿げている。 俺はそこまで頭は固くはない。




確かに前回とは状況が大いに違う。




前回はどうだったっけか? 確か、ダイアンの裏側を知らなかった俺達はそちらを正義と思い込んだ。




だから、頭領のウラヌスを俺等が襲撃したのは単なる誤解、それを押し通すついでの手土産として、シリウスを捕縛する事を思いつく。




そうすれば信用も高まり、ついでに生活費も若干援助してくれる、といった楽観的な考えだった。




その道中、勇治は"神器"と呼ばれる武器を手に入れればシリウスの捕縛の大いなる一歩に繋がるのでは、という案を思いつく。




俺はそれを潔く承知。 ところがその行く先にはゼアが率いる兵士達が待ち構えていた。




そしてボロボロになりながらも神器らしきものを入手するもののゼアの強襲に遭い、半殺しに。




さらにこの状況の中、シリウスが出現。 俺が太刀打ちできる筈も無く・・・ 気を失う。




最後は・・・ どうだったっけ? 確か気がついた時には近くに救急箱が置いてあったんだっけ?




結局彼は俺を殺し損ねたのか、殺す価値すらなかったのか、それとも―――情けなのか?




後で勇治に話を説明したが、勇治は情けの線を否定。




只、今思うと、もしシリウスが出現しなかったら、俺もしくは俺等はとっくに処罰を受けているのかもしれない。




そして、今回は・・・ ん? 待てよ?




中間ストーリー7

〜真実〜



真治「勇治・・・ 悪いが俺の我が儘を聞いてくんねぇか?」

勇治「・・・え? 兄さん、ま、まさか・・・」











真治「御察しの通り。 こいつ等の話をちょっと聞いてみようじゃないかw」

勇治「もう頭いかれてるじゃん・・・ さっきあんだけ思考しといてこんなありきたりな答えを返すのが許されるとでも?」

真治「許される・・・と思う

勇治「ん? 今自信無さ気な事言わなかった?」

シリウス「気のせいだろ・・・ つーか話長いんだよ、いつまで待たせる気だ?」

勇治「うーん、そんな事言われてもなぁ・・・」

シリウス「ふざけんなw つーかこれ尺長くしようとしてるだけじゃね?」

真・勇「ギクッ」


勇治「・・・やっぱり・・・ そう言うと思ったよ・・・けど。」

勇治「そんな話、僕は御免だね」

真治「お前なあ・・・ 強情になっていい時とよくない時があんだよ、 よく考えてみろや」

勇治「?」

真治「今迄ダイアンの指揮官等に襲われた時、どうだったよ?」

勇治「えーっと・・・」




まず一度目。




アナトスに襲撃された時。




多分被害は少なかったんじゃなかったっけ? 発煙筒という卑怯な作戦で。




次に二度目。




今度はゼア率いる部隊に襲撃された時。




確か僕はどういう状況だったっけ?


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兵士1〜20「絶対に逃がすな!」

勇治「(まずい・・・このままじゃあ袋小路だ・・・ 下手したら兄さんの神器回収が失敗してしまう・・・ けど・・・)」

勇治は自らの右足をちらりと見る。




ライフルの弾だろうか? その類の弾が2〜3発程食い込んでいて夥しい程の出血量だった。




次第にその足は電池が少なくなっていくかのように動きが鈍くなり、先程よりも状態は酷くなっていた・・・




そして、とうとう・・・

勇治「・・・っ!!!」




膝からガクンと倒れ、地面にうつ伏せになる。




後ろからは兵士達が駆け込んでくる地響きが聞こえてきた・・・ おそらく先程より人数が倍増している。

勇治「・・・兄さん・・・ どうやら、もう・・・」




その諦めの感情と同時に爆発音が聞こえてきたのはその時だった。

兵士1〜17「ぐわぁぁぁっ!!!」

兵士40「!! 何だ!? 応答してくれ!」

兵士21「ぎゃああぁぁ!!! 誰か助けてくれぇっ!!」




迷路のように広く、道の幅があまり無かった為か、彼等が混乱しているのは見なくても理解できた。

勇治「兄さんの援助かな? まぁいいや、今のうちに止血しておこう・・・」


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今思えば兄さんはあの時こんな援助ができる筈が無い。




騒ぎが収まった頃に兄さんを探しに向かったら、救急箱と共にズタズタに切り刻まれていた兄さんは気を失っていたのだから。




そもそも爆弾なんてものは入手した事も見たことも無い。 兄さんだって同じ筈なのだから。




と、いう事は、あの時援助してきたのは?




ダイアンを敵視していた人達の筈。 ま、まさか・・・



勇治「ひょっとして・・・まさか・・・」

シリウス「悪いな、そのまさかだ、 事前にダイアンの兵士に変装した部隊が爆発させた」

真治「そして・・・ 三度目の襲撃だが、俺等を巻き込まなかったのは流石に偶然じゃな・・・」

シリウス「・・・あ、ああ・・・(本当はギルギアがカセットテープを所持しているなんて知らなかったから油断していて、たまたま偵察隊が真治達が襲撃されているのを見たから慌てて手配した、なんて言ったらブチ切れるだろうな・・・ 中スト6の冒頭部分は余裕を装っただけだもんな・・・)」

真治「・・・ほらみろ。弟よ、確かに疑いたくなるのも分かるが、俺等は既にダイアンに捕縛される危機を救ってもらってる。 いくつか恩があるんだからこの要望に応えてやろうじゃないか」

勇治「・・・今回だけだよ」




それでも勇治はやはりシリウスを信じきっているような様子では無かった。今回は恩があるから、といった理由で渋々承知しただけのようだ。

シリウス「態々話を聞いてくれるとは・・・色々とすまないな」

真治「いやいや、こちらこそ」

シリウス「まぁ、ここで話すのもいいんだが・・・ ついてきてくれ つーか、すまないなの台詞って寧ろお前等が言うべき台詞じゃないのか? 長ったらしい回想の割には案外簡単に承知したし・・・ これだけの時間で30分使うか普通・・・

勇治「・・・何かゴメン・・・」




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