〜PM:6:00 格納庫前〜

ジルガ「・・・・・・ふむ、制圧完了か?」



ジルガは敵兵の増援が出現しないのを確認すると、裏口の非常用ドア(?)を蹴り開ける。



その後に従順するように、真治達も着いて行く。

・大体の成果

ジルガ・・・ 敵兵30人無力化、スニーキングミッション完遂・・・等

勇治・・・ 敵兵3人無力化(気絶)、報告書と思われる物を入手

真治・・・ ただ、突っ立っているだけ・・・



勇治「ふぅ、まさかジルガさ・・・ ジルガがここまで強いとは思いもしなかったなぁ」

真治「・・・納得がいかん。」

ジルガ「・・・はいはい、そいつはどーも。 油断するな、まだ残ってるかも知れねーんだからよ」

勇治「それもそうだね」

真治「華麗にスルーすんなよおいw 納得いかねぇって言ってんじゃねえか」

ジルガ「ハァ・・・・・・何が?」



初め任務に出発する時とは一転して、ジルガの目はまるで哀れな子供を見るかのような目になっていた。



真治「な、何だよその目は!!」

ジルガ「・・・シリウスからは連戦連敗の悲運に満ちた奴、って聞いてたから嫌な予感はしてたが・・・ つーか弟の方が頑張ってんじゃんw」

真治「くっ・・・!」

勇治「ドヤァ・・・」

ジルガ「そんなに不満なら訂正しといてやるよ」



・大体の成果

ジルガ・・・ 敵兵30人暗殺、スニーキングミッション完遂、1ショット1キル・・・等

勇治・・・ 敵兵3人無力化(気絶)、報告書と思われる物を入手

真治・・・味方を落とし穴に巻き込む、発煙筒で味方の視界をくらます・・・等



真治「悪化してるじゃねーかw」

勇治「事実それだけしかしてないもんね」

真治「うーむ、ならばこういうのはどうだ? 俺が今からこの施設の二階の安全確認をしにいけばここの施設は正式に制圧した事になる! 事実敵がいる可能性もあるんだろ?」

ジルガ「まぁ・・・確かにそうだが・・・けどそれって要約したらいいとこ取りじゃね?

真治「大丈夫だ! 俺は必ず帰ってくる! 敵なんてそうそう居ない!」

勇治「うっわ、露骨なフラグを・・・」



そういい残し、真治が二階への階段を狂気に駆られたかのように駆け上がり、やがて何発かの銃声が聞こえてきて謎の雄叫びが聞こえたのは数十秒後の事だった。



ジルガ「だから言わんこっちゃ無い・・・そりゃあんな露骨なフラグ立てたらそうなるわ

勇治「あ、そういえば一つ気になっている事があるんですが・・・。というかマーズに入る以前から疑問に思っている事があるのですが」

ジルガ「あ、兄助けに行かないのか・・・ほう?」




勇治「・・・これまでのシリウスさんといい、アナトスといい、何かしらの属性・・・?と言ったらいいのですか?あれの正体についてそろそろ説明してほしいのですが・・・。 初めは予め地形に仕掛けを施す等のトリックと推測しましたが、それにしては技も多様だし、というかそれだと説明に無理がある人も居るので・・・かといって自分達の幻覚?という理論も無理がありますよ、現にこの身体が物語っていますからね」



ジルガ「・・・・・・やはりそこを聞くだろうな。いいだろう、俺の知っている限りを教えてやろう。後で真治に説明しといてくれや」


ジルガは長話になる、という事を忠告するかのように煙草を一本取り出す。これは彼の一種の習慣でもあり、自分が10分以上の深刻な話をする時のみ煙草を吸う、とシリウスが言っていた。よく見ると煙草も通常とは違い少し長めのようだ。ただし、彼は重苦しい話をする、聞くのを嫌う。よって、煙草は滅多に吸わない。部下の配慮の為という説もあるようだが。



そして、ジルガはライターを取り出し、点火する。その音は静寂な格納庫にはっきりと聞き取れた。



・・・ってあれ。 さっきまで真治も居た筈なんだが。 流石に静か過ぎないか?もし真治が上階の敵から逃げ切っているのならば今頃はこの階に下りてきて言い訳をまくしたてている筈なのだ。もし真治がヤバい、あるいはもう手遅れの場合は?・・・まぁ一応断末魔の叫びらしき声もあったけど。


                         バケ モノ
ジルガ「単刀直入に言ってやろう。 この属性の正体は―――― 知らん。」
 
勇治「・・・は?」

ジルガ「・・・と言うより、解明すらされていない。何時何処で生まれたのかも。」

勇治「・・・え、 何一つ・・・ですか?」

ジルガ「うーん、確定しているような事実が一つもない、と言った方が良いのだろうか・・・つまり、真偽のつけようが無いデマや情報が溢れていて
判断する事ができないって訳だ」

勇治「な、成程・・・」

ジルガ「・・・今では様々な説が挙げられている。信仰説だの、幻覚説だの、遺産説だの・・・とまあ、色々有る訳だが、シリウスは"霊威説"を推している訳だ」



れい-い【霊威】
霊妙な威光。すぐれて不思議な力。
――――広辞苑 第六版より



勇治「・・・ちょっとごめん、何この↑の演出」

ジルガ「・・・さあ?演出って程でもないけどな・・・ つーかコレ普通に名前出してるけど許可取ってるのか?」

勇治「そうなのか、何か決定付けるような事でもあるのかな?」

ジルガ「・・・実は何一つ無かったりする」

勇治「えぇー・・・」

ジルガ「仕方ないだろ・・・そもそも非科学的な現象に資料なんて無いわけだし。とはいっても全く無いわけではない。昔から"輪廻転生"といった言葉があるようにひょっとするとそれに似たような現象なのではないか・・・? って訳だ」

勇治「確信できないなあ・・・」

ジルガ「まぁ人の思考なんてバラバラだから考えが違っても可笑しくないんだろうが。事実俺もこの説には納得してないし。嘗ては俺も科学的な現象と考えた事があったがしだいに説が消えていき、最終的に幻覚説しか残らなかったもんなぁ」

真治「結局非科学的現象って訳か」

ジルガ「そう、ちなみにこのバケモノの兵器の名称は・・・ってお前生きてい・・・」



ジルガはそこで”あ・・・”と絶句した。



同様に勇治も。


    
真治達の姿は2階へ昇る途中にあった。



見る限りは真治は無事。大傷も何も負っていない。



何も心配すべき事はない。



只一つ。







隣でリボルバーを真治に突きつける人物を除いては。

勇治「・・・・・・なッ・・・!」

ジルガ「・・・・・・よりによって・・・くそッ!」



ジルガはこの男に会った事がある。



とはいっても、ダイアンで勤めている頃に写真で見た時以来、目にしていないが。



ジルガ「・・・確か、ブラ・・・ジオだったけか?」

ブラジオ「ご名答。覚えてくれているとは光栄w」

勇・真「・・・あのごめん、誰?」

ブラジオ「グレナル国第一師団隊長 ブラジオ=ウェイカーってモンだ、覚えてくれたら光栄」

ジルガ「・・・・・・とんでもない輩を送ってきやがったなおいw」

ブラジオ「一応偵察部隊長の名も持っているんだがな・・・まぁそんな事はどうだっていい、俺の要求は只一つ。降伏しな。」

勇治「・・・ひょっとして、グレナル国から送られた人って・・・」

真治「・・・なーんかかなりヤバそうな気がするんだが」

ジルガ「かなりやばいとも。発電所を防衛してるんじゃなかったのかよおい・・・」

ブラジオ「じっと待機する・・・ってのは性に合わねぇ。さっさと攻略しちまえばその分金も大量に転がり込んでくるもんよ」

勇治「くっ・・・・・・!」

ブラジオ「てことでさっさと答えな。降伏するのか?それともするのか?」

ジルガ「・・・ちょいと時間をくれ」

ブラジオ「おいおい、随分と悠長だなw もしかすると気まぐれでこいつを撃ち殺すかもしれ」



ドォン・・・



乾いた銃声が聞こえた。



え・・・・・・・・・・・・? まさか・・・・・・・・・・・・?



「ねぇよそんな選択肢」



背後の入口から聞き覚えの有る声がした。



声の主は・・・レヴ。



両手にスナイパーライフルを構え銃口から煙が出ている。頭を狙ったつもりだったが咄嗟の回避で腕に当たったらしい。



手に構えていた拳銃と銜え煙草が落ちたのを見計らい、真治は逃走。



後で分かった事だが、レヴとギルギアのペアは仕事が速く終わったのを見計り、ジルガ達の仕事が重荷だった事を思い出して直行したのだという。



レヴ「真治、怪我は無かったか?」

真治「ガタガタガタガタガタガタガタガタ」

勇治「どこぞのPCゲームを思い出したのは俺だけか?」



ブラジオ「・・・・・・ちっ!」

ジルガ「・・・どうやら降伏するのはそっちみたいだな?w 果たして4対1(一名戦力外)の状況で逃がすとでも思っているのかよおい?」

勇治「・・・ちなみに戦力外って誰?」

ジルガ「そこで震えてる人」


ブラジオ「・・・ったく・・・俺の報酬の恨み・・・存分に晴らすとしよう

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